ロシア人、真剣に座禅体験!


禅とは何か、ユーモアを交えた講義が好評













4月18日から19日にかけて、ロシア・モスクワにある外国文献図書館「国際交流基金」にて「座禅ワークショップ2019」が開催された。座禅体験イベントは、昨年4月に引き続き2回目だ。このために東京からやって来たのは、臨済宗・全生庵の七代目、平井正修住職だ。全生庵は安倍首相をはじめ、政界の大物が座禅に通う寺として知られている。
平井住職に直接教えてもらえるとあって、スプートニク取材班が訪れた19日は平日の昼間だったにも関わらず、定員いっぱいの30人がバスタオル持参で集まった。この前夜に行なわれた講座は、仕事帰りの人たちが訪れ、事前予約の段階で断らざるを得ないほど人気だったという。
初めこそ少し緊張感がただよっていたが、平井住職はまず、禅とは何か、禅と日本文化の関係について、ユーモアを交えて平易な言葉で説明していく。プログラム上、この時間は「講義」と名前はついているが、実際は参加者との「対話」とでも言うべきものだ。住職の「禅とは何かを信じるものではなく、やったからと言って特別な力がつくものでもありません」「余計なものを捨て、心を裸の状態にするのです」「自分をなくしていき、他と『和合』していくことが日本文化の根底にあります」といった言葉に、参加者は大きく頷いていた。
講義が終わった後はいよいよ体験だ。平井住職は、座禅の組み方の指導を行なった。座禅で肝心なのは姿勢と呼吸だ。正しい姿勢を作り正しく呼吸するには、きちんと背筋を伸ばし、へその下にある丹田を意識することが大切だという。それぞれの参加者は、股関節の状態の許す限り、できるだけ完璧な座り方をマスターしようとしていた。
そもそも日本人でも、座禅について間違った思い込みをしている場合がある。座禅といえばすぐに思い浮かぶのは、住職が手にしている棒状の板、警策(きょうさく)である。姿勢が悪かったり、眠そうにしていると叩かれてしまうのでは?と不安になるが、これは罰するためのものではない。実際は、集中が乱れてどうしようもないと思ったら、自分から合図して、叩いてもらうのだ。また、目は閉じると思っている人が多いが、正しい姿勢とバランスを保つために、あえて目は閉じない。


姿勢を確認できたら、いよいよ体験スタートだ。15分座禅を組み、少し休憩し、また15分座禅を組む。参加者らは呼吸を整え、自分の内側に集中していく。水を打ったような静寂が訪れた。取材班は座禅体験の模様を撮影させてもらったが、静けさの中でカメラのシャッター音が驚くほど大きく響き、集中を乱してしまったかもしれない。



参加者からは「先生が親切だった」「もっとこういうイベントをやってほしい」との声が集まり、終了後も平井住職を取り囲んで質問攻めにする姿が見られた。ある日本人参加者は「日本にいたら絶対に機会がないだろうと思ったので来てみました。自分の国の文化をロシア人と体験できるのは嬉しい」と話してくれた。




スプートニク日本


筆者: 徳山 あすか
写真:クリスチーナ・サビツカヤ


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