寒い時に寒い国へ
若い日本人女性2人がウラジオストックでやることとは?
みどりさんはスプートニクに、ウラジオストクで友人と一緒にどのように年末年始を過ごしたかについて語った。
電子ビザ
2017年、ロシアの東端の都市が外国人観光客にとって、ずっと身近になった。外国人が極東から入国する場合、無料の電子ビザが使える法律が発効したのだ。ビザの取得方法は極めて簡単だ。入国予定日の4日前に専門サイトで申込書を記入するだけである。
海地方の行政府によると、1月半ばまでに電子ビザを使用して沿海地方を訪れた観光客は約4500人だった。そのほとんどが中国(2740人)か日本(1560人)の旅行者である。特筆すべきは、約400人の観光客が冬、新年を迎えるために沿海州を訪れていたことである。

公平のために言うと、ロシアの冬は厳しく暗いというステレオタイプとは裏腹に、ウラジオストクは冬でも美しく、ロシアで最も太陽の恩恵を受けられる都市のひとつだと言える。冬のモスクワとサンクトペテルブルグでは晴天の日が10日から20日であるのに対し、ウラジオストクでは晴天の日が70日にもなる。ウラジオストクは冬に太陽を求めるのであれば、まず行くべき都市なのである。
勇敢な旅行者
冒険好きな2人の日本のお嬢さん、みどりさんとみささんはありきたりの観光ルートではないウラジオストクへの旅を決行。スプートニクはそのうちの一人、みどりさんに取材し、ロシアの冬は聞きしに勝る寒さだったか、冒険談を語ってもらった。


ロシアは全く初めてというみどりさんとみささんは、大晦日にウラジオストク行きを決めた。元旦を迎えるという夜、ふたりは町の広場に出かけ、新年のもみの木が飾られ、花火が打ち上げられるにぎやかなお祭りを味わった。2人はこの大晦日から元旦にかけての夜が旅の中で一番強烈な思いでになったと語っている。

日本ではお正月になるとクリスマスツリーはもうないので、とても不思議な感覚でした。
みどりさん
次に印象的だったのは凍った海の上を歩くこと。

ウラジオストクの海辺は冬の間はずっと凍結している。地元の人は本物の冬到来をまさにこの海の氷で感じるという。凍った海の上に点々と座っているのは釣り人たち。みどりさん、みささんは凍った海の上を歩くだけでなく、『ワカサギ釣り』にもトライさせてもらった。
スプートニク:
そこで釣りもしましたか?
みどりさん:
釣りをしていたおじいさんがいたので、声をかけたら一緒に釣りをさせてくれました。
スプートニク:
釣り方は教えてくれました?
みどりさん:
はい。おじいさんと一緒に釣りをしました。
スプートニク:
ロシア語できます?
みどりさん:
ロシア語は全くわかりません。「スパシーバ(ありがとう)」以外に何も知りません。
スプートニク:
コミュニケーションはどうやって?
みどりさん:
コミュニケーションはほとんどジェスチャーです。多少英語がわかるおじいさんだったと思うのですが、おじいさん自身はロシア語で話していました。こちらが身振り手振りで話しかけたら「やる?」みたいなジェスチャーをしてくれて、釣りの道具を差し出してきてくれたので、「イエス、イエス」と言いながら、させてもらいました。
ウラジオストク駅
ウラジオストク駅は、 有名な9000キロ余りのシベリア鉄道の終着駅。同駅は、 ロシアで最も美しい駅の一つと考えられているため、 みどりさんがたくさんの写真を撮ったのも納得できる。
スプートニク:
駅で何をしていたんですか?雪かきの写真がありますけど、大変ではなかったですか?
みどりさん:
私は今京都に住んでいるので、そんなに雪かきをした経験がないんです。寒い中、身体を動かすのはすごく大変だなと思いました。でも雪かきをしてくれる人がいるからこそ道が歩きやすくなってるんだなと思いました。
スプートニク:
ウラジオストク以外に行ってみたいところは?
みどりさん:
そうですね。夏にモスクワに行ってみたいなと思っています。シベリア鉄道にも乗りたいです。
スプートニク:
シベリア鉄道だとウラジオからモスクワはほぼ1週間かかりますよ。ロシアの列車は日本みたいに高速じゃないですから。
みどりさん:
ハバロフスクなら一駅(一泊)で行けますよね。モスクワまで一週間はちょっと長いです(笑)
冬に行くのはとても良いなと思いました。友達に「ウラジオストクに行く」と話をした時、どうして寒いときに寒い国に行くの?と言われたんですけど、やっぱり行きたくて。冬だからこそ、凍った海の上を歩けたり、日本では見られないような雪景色を見ることができました。クリスマスツリーを見ながらカウントダウンをして、海で釣りをして、シベリア鉄道の列車も見ることができました。食事は、パンは固いなという印象はあったんですけど(笑)、色々なお店を調べて行ってみたら、海鮮も美味しくて内装もおしゃれでした。日本からすごく近いのに日本とはぜんぜん違う景色や食事を楽しむことができたのでとても良かったと思います。行きやすいのがいいですね。


みどりさん
あと、特におすすめなのが、ケフィア(ロシアではキフィールと呼ばれている)というヨーグルトです。ケフィアには身体に良い成分が入っているしお腹の調子も整えてくれます。もともと私はヨーグルトが好きなので、たくさん買って、キャリーバックにつめて帰りました。
現地で知り合った日本語の話せるロシア人の方が予約してくださったので、バレエ「くるみ割り人形」を観に行きました。バレエは初めてだったのですが、とても素晴らしくて感動しました。これも日本の人におすすめしたいです。
みどりさんはもちろん時間を無駄にすることはなかった。氷上穴釣 りをしたり、駅で雪かきをしたり、新年の花火をみたりした… だがウラジオストクには他にも見逃せない素晴らしい場所、景色、 娯楽などがたくさんある。スプートニクのお勧めは…
アウトドア派や冒険好きな方には
流氷の海、雪山、屋外スケート場。これらすべてを明るい太陽が照らしている。この雰囲気の中では、よっぽどの面倒くさがり屋でない限り、誰でもアウトドアを楽しみたくなる。スノーモービルやバギーに乗るのも楽しい。地元らしさに浸るなら、冬釣りに行くのもよい。
ウラジオストクは港町で、この地の気候に適応し、冬でも旅行者が楽しめるような、さまざまなビーチレクリエーションが揃っている。例えば、ウィンターサーフィンやカイトボードである。
冬季のサーフィンが普段より分厚いウェットスーツを着用するという違いしかないのに対し、冬のカイトボードは水上を滑走するのではなく、カイト(凧)を付けたスノーボードもしくはスキーで氷上を滑走する。SUPを楽しむサーファーもサーフボードを夏までしまっておくわけではない。半分凍った湾をサーフボードに乗って砕氷船よろしく進むのである。
ロマンティックで美を愛する人には
ウラジオストクの海には、無料にも関わらず、とても印象的な光景がある。それは日の出と日の入りだ。
ルースキー島のトビジン岬
ウラジオストクは世界で最も早く1日が始まる場所のひとつであり、そのため、日の出にも特別な楽しみ方がある。ルースキー島のトビジン岬から見るのである。そのためには早起きして、日の出までにルースキー島へ行き、アスファルト舗装の道路の終点から岬まで約1時間、歩かなければならない。歩き始めてまもなくすると、切り立った岩と日の出前の空が映り込んだ海という、素晴らしい景色が開ける。
夕焼けを見るのなら、市内中心部から遠く離れる必要はない。旅行者だけでなく、地元の人も車で訪れる人気スポット、トカレフスキー灯台へ行けば良い。ここで海岸沿いを散歩すると、運が良ければ、沿海地方のアザラシ、可愛らしいゴマフアザラシを見られるかもしれない。
ここ数年でウラジオストクのシンボルのひとつとなったのが、近代的な橋である。2012年のAPECサミットに合わせて、3本もの橋が建設された。海峡に隔てられたウラジオストクの各地区をつなぐこれらの橋は、ウラジオストクの生活を根底から変えた。ロシアが海峡を隔てた斜張橋を建設した例はそれまでなかったにもかかわらず、橋はわずか3年という短期間で建設された。
文化的な余暇を大切にする人には
美を愛する人なら、自然を堪能した後、ウラジオストクの文化的生活に触れてみてはいかがだろうか。夜は国立マリインスキー劇場・沿海地方劇場での観劇も良いだろう。
劇場は有名なゴールデンブリッジのほど近くにある、ガラスと金属でできた都市的な建物である。
豪華な装飾と衣装、才能溢れるアーティストによる素晴らしい舞台で名を馳せている劇場だ。
劇場の建物は蹄鉄型をしており、それが1365人を収容する大きなホールの音響を極めて高品質なものにしている。音響のメインとなるのが、観客席の壁一面に敷き詰められた特別な木製のブロックであり、一部は音を反響させ、一部は吸収するようにつくられている。
Made on
Tilda