花に囲まれたモスクワ大茶会
抹茶と和菓子でくつろぎのひととき
スプートニク日本

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22日から24日までモスクワ大学付属植物園の温室内で、在ロシア日本国大使館の主催による「モスクワ大茶会」が行なわれた。このイベントは「日露交流年」事業の一環。温室内には日本から空輸された材料で特別に茶室が設営され、参加者はアットホームな雰囲気の中で抹茶と和菓子を楽しんだ。初日は雪混じりの雨というあいにくの天気だったが、温室内には様々な花が咲き乱れており、一足早く春の訪れが感じられた。
上月豊久・駐ロシア大使の挨拶に続き、茶道、華道、書道などの日本文化に精通した山田みどりさんがお茶の歴史についてレクチャーを行った。山田さんはかつて抹茶が薬として売られていたことや、千利休がアジアやヨーロッパ諸国の陶器を茶器として使っていたこと、おもてなしに欠かせない懐石料理の起源など、興味深い事実を紹介した。
会場では同時進行で三種類のお点前が見学できるようになっており、参加者らは説明を聞いたり、茶道具を鑑賞したり、温室の花と写真撮影したりと、それぞれの時間を過ごした。茶室は障子や床の間があるだけでなく炉も切られている本格的なもの。希望者は、身体を屈めながら順番に出入りしていた。
ヨガ講師のエレーナさんは「植物園の情報をチェックしていて、偶然お茶会の情報を見つけ、日本文化に興味があるので来てみました。和菓子は初めてで、甘すぎなくて繊細な味で、珍しい食感でした。抹茶は、以前どこかで買ったことがあり、少し飲んでそれきり飲むのをやめてしまったのですが、今日の抹茶は、全然違うものでした。素晴らしいエキスを飲んでいるような気分です」と感動した様子で話してくれた。
日本文化やアニメに興味がある中学生のアナスタシアさんは、母親のアリサさんとお茶会を訪れた。アナスタシアさんは「抹茶は初めてでしたが、全然苦くなくてとても美味しかった」アリサさんは「温室の植物に皆さんの着物が映えてとても綺麗でした。茶道の作法やお茶の飲み方について説明があったのが良かったです」と話してくれた。
会場には大人にまじって時おり小さな子どもたちの姿も見られ、山田さんの説明どおり、神妙な面持ちで丁寧に茶碗をまわし、絵柄を避けて口をつけていた。

イベント終了後、茶室は植物園に寄贈される。植物園側では茶室寄贈にあわせて日本庭園を造る計画がある。
文化イベントが盛りだくさんだった日露交流年は、そろそろ終わりに近づいている。今年の6月にプーチン大統領がG20サミットで大阪を訪問する際、閉会式が行なわれる予定だ。
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筆者:徳山あすか
写真:クリスチーナ・サビーツカヤ
デザイン:ダリヤ・グリバノフスカヤ

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