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2018年の科学技術における最大の快挙
今年は科学技術のあらゆる分野で新発見や類い稀なる開発が相次いだ年だった。なかでも最も心を掴まれたのは宇宙開発の新たな一歩と遺伝子工学での驚くべき新発見である。スプートニクはなかでも最も興味深い出来事を改めてご紹介する。

人類が宇宙に飛び立ったのはわずかに100年弱前のこと。それが今やすでに火星のコロニー、月面の村、小惑星での資源採掘のための掘削などが計画されている。スペースX社の創業者であるイーロン・マスク氏は人類に宇宙の植民を呼びかけている。なぜなら、第三次世界大戦が始まったとき、これにより人類の文明を救うことができると考えているからだ。マスク氏は宇宙の植民を火星から開始することを提案しており、自分自身が火星開拓に行く可能性も否定していない。
2018年2月、マスク氏の会社はこれまでで最大のロケット「ファルコンヘビー」の打ち上げに成功した。現在、このロケットは63.8トンという最大のペイロードを持つ。大きく差を開けてこれに続くのがボーイング社のデルタⅣで、ペイロードは28.7トンである。ファルコンヘビーは、ダミーのペイロードとして運転席にマネキンを乗せたマスク氏の個人所有の自動車を打ち上げた。現在、スペースX社は全長100メートルの新しい宇宙船BFR(Big Falcon Rocket)の開発を進めており、2024年には火星に最初の植民者を輸送することになっている。
NASAも火星への飛行に真剣に取り組んでいる。2018年9月、火星にロボットミッションと有人ミッションを着陸させるためにNASAが開発した巨大パラシュートの展開実験が行われた。火星パラシュートはNASAのMars 2020ミッションの一部であり、重さ約1050㎏のローバーを火星表面に輸送する。
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NASAは火星ミッションにとどまらず、金星への有人飛行コンセプトにも取り組んでいる。金星は地球に近い内部構造を持つが、熱く有害な大気に包まれている。そのため、宇宙飛行士は金星の表面に浮かぶ雲の中を飛ぶ特別な飛行船に住むことになる。飛行船には特別な塗装が施され、酸による腐食を防止する。というのも、金星の大気には液体の硫酸が含まれているのだ。NASAの専門家は、現在の技術は30日の金星ミッションを火星ミッションよりも早い時期に準備することさえ可能だと確信している。
今年9月にはJAXAの研究者たちも宇宙開発で飛躍を成し遂げた。世界で初めて小惑星リュウグウの表面に自走式調査ロボットを着陸させたのである。小惑星にミニロボットを輸送したのは探査機「はやぶさ2」である。ロボットはすでに一連の貴重な写真を地球に送信することに成功している。
2018年には、遺伝子研究者らにも大きな発見があった11月、中国の研究者である賀建奎(He Jiankui)氏が香港で行われたゲノム研究の国際会議で登壇し、人間の受精卵のゲノム編集を行い、HIVに感染しにくい世界初の遺伝子操作ベビーを誕生させたと述べた。この発表には遺伝子研究者らから、人間の受精卵でこのような実験を行うのはあまりにも時期尚早だ、なぜならこれによってガンの発生を含め、遺伝子の突然変異が誘発される可能性があるからだという厳しい批判が集まった。中国政府は、今後国内で人間の受精卵のゲノム操作を行うことを禁じた。現在、賀建奎氏が提供した資料は国際的な第三者専門家グループによって調査が行われている。
ところで、多くの専門家の意見は、遺伝子工学の使用は人命に直接の脅威がある場合には正当化されるという点で一致している。フィラデルフィアのペンシルベニア大学(アメリカ)の分子生物学者らは、胎児の段階で発見された深刻な疾患をゲノム編集で治療する実験をマウスで行い、有望な成果を得た。アメリカの研究者らは、肝臓の中で起こる不可逆的な破壊によって新生児マウスが死亡するのを初めて予防することに成功した。彼らはゲノム編集によって胎児のDNAの危険な突然変異を、まだ母胎にいる段階で修正したのである。

テキサスのアメリカ人遺伝子研究者らは今年9月、マウスでのアルツハイマー病の遺伝子治療実験に成功した。研究者らが開発したユニークなワクチンにより、有害なタンパク質細胞(アルツハイマー病の発症を促進するアミロイドβペプチド)が免疫システムの攻撃対象となる。マウスの実験では、ワクチンの使用で認知症の発症が数ヶ月遅れることが分かっており、これは人間では十年に相当する。

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