ロシアのマンガとは?
スプートニクQ&A
スプートニクでは、引き続き、読者の皆さまのご質問にお答えしていきます。今回はロシアのコミックについて教えてほしいというご依頼をいただきました。ロシアの新しいスーパーヒーローについて、古代ロシアのコミックについて、そして日本のマンガの影響について、どうぞこちらの記事をご覧ください。
ロシアではすでに数年前からコミック産業の成長が見られている。専門店の数が増え、コミックフェスティバルの来場者もどんどん増え、現代芸術の一分野として大学でこの分野を扱うところも出てきている。
古代ロシアのコミック
ロシアでは17世紀にはすでに絵を用いた物語が登場していた。面白い文言の書かれたルボーグ・イラストと呼ばれるものがイズバ(イズバとは、ロシアの農民の住居として最も一般的な丸太小屋の事で、民話にしばしば登場する)の壁に飾りとして掛けられており、子どもにも大人にも愛されていた。こうしたイラストに描かれていたのはピエロであったり、物語の登場人物だったり、兵隊だったり、悪魔だったり・・・つまり、一般庶民に知られた者であれば誰でも描かれたのである。そのため、コミックはロシアにとって、それほど馴染みのない現象ではないのだ。
ルボーク(民衆版画)「猫を埋葬するねずみたち」、1760年
大学の専門は・・・コミック!



最も多くのコミック・ファンに会えるのはフェスティバルである。彼らは自分と同じようなファンと話をしたり、新作や限定グッズを購入したり、好きな作家のスケッチを入手したりするためにフェスティバルを訪れる。こうしたフェスティバルは外国の巨大フェスティバル、例えば、世界最大のフェスティバルのひとつであるアメリカのSan Diego Comic-Con Internationalを模して誕生した。
コミックという分野がロシアで大きく規模を拡大し、大きな関心を集めたことで、ロシアの大学の中には将来のコミック作家を育成するプログラムを開設するところも出始めた。例えば、高等経済大学のデザインスクールは2018年にコミックの描画を学ぶコースを開設し、最初の学士となる24人の学生を受け入れた。
国立研究大学高等経済学院デザイン学校のアート実習の授業で1年生が制作したコミック

ロシアの新しいスーパーヒーロー
「ベソボイ」
ロシア最大のコミック出版社は「Bubble」であり、独自のスーパーヒーローの宇宙を描いたコミックを毎月出版するほか、マスタークラスやコスプレ、コミック作家を招いたサイン会を開催している。
スプートニク:
どうして絵を描くようになったのですが?どこで勉強したのですか?
キムさん:
私は子どもの頃からずっと絵を描いています。家族はあらゆる形でそれを奨励していましたし、私の両親は建築家で、私が芸術以外の職業に進むという話が出たことはありません。
スプートニク:
どうしてコミックの絵を描くことに決めたのですか?このジャンルの何が魅力的だったのですか?
キムさん:
私は常に絵を描くことが好きでしたし、ストーリーを考えることもが好きでした。コミックはその二つを兼ね合わせる理想的な方法です。セリフの書かれた吹き出しを通じて人物が会話をする絵を最初に描き始めたのは8歳~9歳のことです。ロシア市場に出回り始めた国内外のコミックが手に入るようになった途端、これを自分の職業にすることができたらカッコイイと思うようになりました。
スプートニク:
あなたは多くの有名な作品を手がけていますね。例えば「ベソボイ」です。今はどんなプロジェクトに取り組んでいますか?どんなものにインスピレーションを感じますか?
キムさん:
引き続き「ベソボイ」を描いており、個人的なプロジェクトにも2つ取り組んでいます。「ジャイカルン」と「テムジン」です。ひとつ目はファンタジーで、ふたつ目は歴史上の出来事をテーマにしたものです。インスピレーションの源はたくさんありすぎて、列挙することができません。

「マンガのレベルは夢のまた夢」
スプートニク:
日本のコミック、つまりマンガは、日本文化の欠かせない一部です。ロシアのコミック文化の現状をどのように見ていますか?
キムさん:
10年ほど前よりは良くなりました。コミックが好きな人は増えており、コミックを「恥ずかしい」とか「子ども向けだ」とか思う人は減ってきています。もちろん、ロシアのコミックがマンガのレベルに達して、厳格な外見の貫禄あるおじさんがコミックを見ても顔をしかめたりしなくなることは、夢のまた夢です。けれど、ポジティブな動きは起こっており、それだけでも良いことです。
スプートニク:
ロシア語のコミックは例えば日本やアメリカのものとどのように違うと思いますか?何か特徴はあるのでしょうか?それとも、多くの作家は日本のマンガ、DCコミックスやMarvelなどのスタイルを踏襲しているのでしょうか?
キムさん:
ロシアのコミックは、日本とアメリカとヨーロッパのものから個別の要素だけを取り込み、その後、そうした要素を自らの必要に応じて完全に加工することで、それらの中間にうまくはまり込んだと思います。ロシアのコミックはビジュアルを見ても、ストーリーを見ても、現代の創作コミックの流れの中にあると言えるでしょう。つまり、絵で認識できるような国ごとの違いはなく、それぞれの作家の独自のセンスと嗜好が共生している状態です。
スプートニク:
好きなコミックやマンガはありますか?もしかして、好きな登場人物もいますか?これらについてお話しいただけませんか?
キムさん:
今の時点で私の好きなマンガは、おそらく「バガボンド」です。素晴らしいマンガです。ページや見開きを見ていると、全ての内なるチャクラが開くのが促されます。井上雅彦の半分でもいいので、あのようにかっこいい絵を描くのが、おそらく私の夢です。

ディー・グレイマンには極めて甘い感情を抱いています。13年か14年も前に読み始め、どんなにゆっくりとしか出版されなくても、今でも読み続けています。ウンザリするほどパターン化されていても、やはり基本的に少年マンガが好きなんです。
スプートニク:
ロシアのコミック産業の将来はどうなると思いますか?
キムさん:
産業については、全く分かりません。ロシアでは何かを予言することは不可能です。安定して発行されるコミックには巨額の(恐ろしいほどに巨額の)投資が必要です。私にはこの状況を打開する方法が見当たりません。個人的には「Bubble」のイニシアチブがロシアでは最初で最後のものになるような気がします。というのも、今のところ、コミックを出版したいと強く願うお金持ちのスポンサーがたくさんいるようには思えないからです。けれど、創作コミックはこれまで通り存在していくでしょう。
出版社「Bubble」のコミックは、ロシア語か英語のものが、以下のサイトで入手可能。

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