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クラシックカーに乗って制裁に反対。ヨーロッパと日本の貴族たちが考え出したロシアを支援するユニークな方法
今年5月、ヨーロッパと日本の貴族や富豪がクラシックカーでサンクトペテルブルクからモナコまでを走行した。その目的は・・・対ロシア制裁を廃止することである。また2020年には、東京オリンピックの前に、ユーラシア大陸に国境があってはならないことを示すために、シベリア鉄道に沿ってヨーロッパから日本までのラリーを行う予定だ。スプートニクの記者はラリーの参加者と主催者に会い、ヨーロッパと日本の上流社会がなぜロシアとの友好関係を望んでいるのかを取材した。

Rolls Royce Monacoクラブ会長でPeace Rallyの会長でもある、聖マウリッツィオ・ラザロ騎士団勲章受章者のジョン・タメンヌ氏は次のように語る。「ヨーロッパは米国がやっていることに疲れ、NATOや難民に疲れています。私たちは、ロシアと協力することによってのみ強い経済を構築することできるのに、対ロシア制裁がこれを妨げていると考えています。ヨーロッパには私のような考えの人がたくさんいますが、それを口に出すことはありません。」

数年前、主にモナコで暮らしているジョン・タメンヌ氏は、ヨーロッパとロシアの君主の関係に関するロシア大使の講演を訪れた。そのとき、冷戦時代のカテゴリーで世界を捉えていたタメンヌ氏の意識が変わった。
ロシアとヨーロッパは何世紀にもわたる共通の歴史と似通ったメンタリティーを持っており、同じ神を信じていることに気付きました。私たちは仲良くしなければならないのです!
ジョン・タメンヌ氏
後に、彼は同じ考えを持つ人たちと一緒に、モナコからサンクトペテルブルクまでをクラシックカーで走行するラリーの開催を思いついた。ラリーを開催することで、彼はヨーロッパではほとんど知られていないサンクトペテルブルク経済フォーラムを支援しようと考えたのである。
タメンヌ氏は言う。「ヨーロッパとロシアは互いに補完し合う関係です。ロシアには天然資源があり、私たちには技術があります。ロシアは美しい豊かな国ですが、それについて語ることが得意ではありません。現在、ヨーロッパのメディアは、ロシアについて悪いことばかりを報じていますが、私はロシアが敵ではないことを知っています。」
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最初のラリーは2017年5月に実施され、 20世紀前半の高級車はモナコ、イタリア、ドイツ、オーストリア、ロシアの人々に暖かく迎えられた。運転席にはユーゴスラヴィアのセルジュ皇太子やヴェネツィア公でピエモンテ公のエマヌエーレ・サヴォイア皇太子などの著名人が座っていた。
「普通の自動車でラリーをすることに決めていたら、誰も私たちに注目しなかったでしょう。けれど、クラシックカーは美しいので、路上の人々は立ち止まり、手を振り、喜んでくれました。人々が私たちに気付いてくれたのです」ータメンヌ氏
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タメンヌ氏によると、クラシックカーの機械は古く、絶えず調整が必要で、丁寧に扱わなければならないため、道中は決して楽ではなかったという。しかし、参加者はこれに懲りることなく、再びラリーを行うつもりだ。
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ラリーには日本人の河村 博光さんも参加していた。スプートニクがそのときの印象を聞いた。
「 去年の5月から10月まで半年間、それまでの人生を変えたいと、仕事を辞めて、思い切ってモナコに住んでいたんですね。その中でモナコでラグジュアリーを勉強したいというのが一つの目的で、それを学ぶのにちょうどピースラリーという機会があるので参加してみないかという話をいただいたんです。
日本に人生を楽しむという「エクスプローラズクラブ」があって僕らはそのメンバーなのですが、その創始者の加藤さんという方がモナコ在住で、いろんなことを学ばせていただいたんです。そのエキスプローラズクラブが今回のピースラリーとパートナーシップを結んでいて全面的に協力しているので、僕はクラブと日本を代表してピースラリーに出ました。」

— このラリーはヨーロッパとアジアを結ぶというアイデアに基づいているんでしょうか?
—ええ。企画をしたジョン・タメンヌさんという方は、ヨーロッパとアジアを過去のいろんな歴史を乗り越えて、平和を祈願し、 日本を含めたユーラシア大陸として友情でひとつにしていこうという発想を持っています。
— このアイデアをどう思いますか?
— すごく大きなスケールだと思います。このラリーというのは今の車ではなくクラシックカーで走るんですね。例えば百年くらい前のシトロエンとか、走っていること自体、奇跡であるほどアンティークな車に乗っていくんです。道中、故障したりいろんなことがあるんですが、故障も含めて楽しんで乗り越えていくことにおもしろさがあるんですよ。クラシックカーに乗っているとみんな手を振ってくれるんです。行く先々でのコミュニケーションとか、クラシックカーならではのメリットも凝縮されていて、実際、サンクトペテルブルクにいくとクラシックカーだけが並んでいると格好いいんですね。今の車ではなくあえてクラシックカーでいく、それからユーラシア大陸を融合していくという初のピースラリーに日本人代表で出られたことをとても誇りに思います。
— 日本人はひとりだけでしたか?
—僕一人だけです。
— 河村さんの乗られた車について教えてください。
— 大きく2台あって、1台はモーガン。これが一番看板になる車でジョンさんがドライバーとして、僕はコピロット(副操縦士)として乗りました。
— モーガンはルーフがないんですね?
— ありません。普段はオープンで走り、雨が降ってきたら後ろから幌を被せます。
もう1台は1922年の シトロエンでルーフは全くありません。雨が降ってもかかります。
— 運転はどんな気分でしたか? 雨が降ったときとか。
— 雨が降ったらびちょぬれですけど、濡れていても運転は楽しいですよ。今の車はコンピューターで動いていますが、この時代の車は機械で動くので天候によって車の状態が毎日変わるんです。 だから雨が降ったら寒いですけど 車とコミュニケーションをとりながら行くという楽しみもクラシックカーにはあるんです。それと今の車は金属でできているでしょう。でもこの車はボディーが木でできていて、ここの部分は木に革が張ってあるんです。可愛いでしょう?
— 一番難しいことを面白いことはなんでしたか?
— 難しいことはクラシックカーなのでエンジンがオーバーヒートして故障してしまうことです。モーガンは車のマフラーが長距離走る間に途中で切断されたりして、工場を見つけて修理してといった小さなトラブルはいっぱいあるんです。こうしたトラブルがあって、その度にみんなと協力して解決して前に進んでいくことがまさに人生というか、おもしろいことでもあるんです。
— いろんな国の人とのコミュニケーションはどうでしたか?
— まず出発地のモナコで、その次はベルリンでパーティーを開いてもらいました。集まってくる人たちジョンさんの知り合いでドイツ軍のドクターとかなんですけど、クラシックカーでやってきたということで「よう来たなぁ」とすごく盛り上がるんですよ。皆さん心の広い、温かい人達ばかりで歓迎ムードがすごくて、接している時間は短いんですけど、一体感が大きくて、別れるときは「絶対ゴールまで行けよ!」と励ましてもらい、行く先々でドラマがありました。
— ラリーの前にロシアにいったことはありましたか?
— ありませんでした。とても美しい場所ですね。ちょうど白夜で、サンクトペテルブルクでのパーティーがひけて、夜中の2時にお店を出たのにまだ明るくて。その空の色とか、街の色のコントラストがとてもきれいで、日本と違って土地が広いので建物が横に広がっていきますね。そこに電球の光がぽこん、ぽこんとついていく美しさにとても感動しました。
— ロシア人のイメージはどうですか?
— すごくきれい(笑)で親しみやすい感じがしました。初めて会ったのに全然違和感なかったです。日本人とは違いますね。とても受け入れてくれました。
— ではこのラリーのあとロシア人のイメージが変わりましたね。
— そうですね。すごくロシア好きになりました。またサンクトペテルブルクに行きたいなと思いました。今年も行きますよ。サンクトペテルブルクからモナコへと道は逆になりますが。
— このラリーは日露関係、ヨーロッパとロシアの関係などの国際関係になんらかの影響を与えると思いますか?
— 僕らの活動は政治的なことではなく、ユーラシアを一つにしていこうという平和の思いでやっているものです。人と人が結ばれ、ふれあうなかで感じあったことを伝える可能性をとても感じます。今後の展開はますます面白くなっていくと思います。
— ラリーで学んだことはなんですか?
— 3500キロを完走した充実感を味わい、スケール感が変わりました。今まで東京―大阪の移動を大変なことと思っていたんですが、もう何とも思わなくなりました。また日本と違って、大陸は国を車で超えていけますね。各国の特徴を肌で感じることができました。飛行機で飛んでいくのとは違いますし、オープンカーでは空気も直接あたり、遮るものがありません。人とのコミュニケーションも 窓一枚あるのとないのとは違うんですよ。それから渋滞にあたったとき、一般の車に乗っていた子どもが窓を下げて僕らのほうをずっと見ているんですよ。ああ、この子たちに夢を与える活動をしているんだと思いました。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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2020年、ジョン・タメンヌ氏と彼のチームは、ロシアを横断してモナコから東京までのラリーを実施する意向だ。参加者はこれにより、ユーラシア大陸は大西洋から太平洋に至るまでひとつであり、ヨーロッパから日本に行くには、ロシア経由という最短ルートがあることを世に示そうとしている。タメンヌ氏はまた、ロシアの多文化主義と多様な宗教が平和に共存していること魅了されたと語る。タメンヌ氏によると、ヨーロッパはこの点でロシアに学ぶべきことがあるという。
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