スプートニク: 日本は伝統やルールが極めて大切にされる国です。不安定な職業を選ぶという普通ではない選択が日本の現代社会の傾向なのだと考えて良いでしょうか?それとも、あなたが白いカラスなのでしょうか?
前田さん:日本において、最も重要な事は「空気を読む」という事です。ルールだからとか上司が言ってるから、とか。また「村八分」という言葉が示す通り、僕たちは社会や組織から孤立するのを極端に嫌がる国民性があります。例えば、皆が同じ事をやっているから、僕も同じ事をしておこう、とか。日本人が規律正しいと言われている理由の一つかもしれません。だけど、空気を読んだり、皆と同じ事をすることが常に正しいとは思いません。自分の人生なのだから、他人を気にしすぎたり何を言われようが好きに生きればいいじゃないですか。
スプートニク: 商業的に成功して、有名になれば、世間のあなたに対する態度は変わると思いますか?
前田さん:有名でもないのでわかりません。初めて会う人に「写真家やってます」というと「お金稼げるの?」と聞かれます。だから、最近は「日本一、売れていない写真家です」と自己紹介しています。実際、写真家として生きて行くのは金銭的にも精神的にも厳しいですけど、その代わりに好きなことを好きなだけできる権利を持っています。これはお金に変えられない価値ですし、誇りでもあります。