恐竜ロボ、慇懃なゴミ箱にスマート・マットレス

「変なホテル羽田」は何で圧巻してくれる?







10月3日、東京羽田空港の近くに「変なホテル」の新たな支店がオープンした。「変なホテル」ではお客さんを迎えてくれるのは恐竜ロボット。この他にホテルではゴミを捨てると感謝してくれるゴミ箱や自分で勝手に洋服を洗ってアイロンがけしてくれるクローゼット、スマート・マットレスも働いている。恐竜との会話がどう弾んだか、驚きのテクノロジーはどんな使い心地だったかについて、スプートニクが取材した。
ホテルはエントランスからもう映画『ジュラシックパーク』の様相を呈している。受付であなたを迎えてくれるのは2匹の恐竜ロボとホテルの制服を着た可愛い女性のヒューマノイド。 恐竜たちは立ち姿でお辞儀をしながら、かなり恐ろしい唸り声を出してお客様を歓迎してくれるのだが、こちらのほうはディズニーランドの恐怖の館に迷い込んでしまった錯覚を味わう。たかが人形だとわかっていても背筋に寒気が走り、鳥肌がたつ。そんなわけで横ににっこり微笑む女性ロボットが立っていてくれることは結構救いだ。

ホテルの数ある自慢の1つがホールの壁だ。壁はスクリーンと化し、中生代の風景を3Dで表現したビデオが常に流されている。映像では穏やかに続いていた恐竜の生活が突然、火山の噴火でかき乱される。その光景があまりにリアルなため、こちらは突然の展開に戦慄が走り、背中の後ろの壁が落石でバリバリと割れたのではないかと 錯覚してしまう。
ロボットの主要な役割はお客様を助け、宿泊の電子チェックインを行い、部屋のキーをお渡しすること。宿泊客がタブレットを使って自分で個人情報を入力すると、ロボットはそのそばで音声で場面場面でヘルプを行う。現在、恐竜の言語もシステムも日本語、英語、中国語、韓国語の4言語体制だが、 それでも恐竜のしゃべる言葉を理解するのはなかなか簡単な話ではない。当初のアイデアではチェックインは5分以内で終了することになっているのだが、記者らを相手にしたデモンストレーションではのっけからタブレットが反応しなくなってしまい、マネージャーは部屋のキーをすぐにもらうことが出来なかった。

「変なホテル」のマネージャーのウマルフ・マルフ氏は「ロボットの裏にはカメラが付いています。これでお客様の声、お客様の顔がはっきり見えていますから、もしお客様が困っているようだったり、うまくいかない時に、AIがスタッフを呼ぶ、と判断します。これは人が出てこないとダメだ、と。そうするとうちのスタッフが出てきて対応します」と話し、記者団を安心させた。
このホテルのイノベーションのひとつに「 弱いロボット」の活用がある豊橋技術科学大学で開発された「弱いロボット」は、構造上はよりプリミティブ だが、 その主たる課題は日常の場面で生じるこまごまとした作業を軽減化することにある。 「 変なホテル羽田」にはそうしたロボットが使われており、人間のゴミ出しを手伝っている。このゴミ捨てロボ、見た目は何の変哲もない小型のゴミ箱だが、車輪とカメラが内蔵されていて、 ゴミを捨てようとゴミ箱を探している人を見つけ出し、自分の方から近づいていくことができる。
記者向けのデモンストレーションではあらかじめ用意されたゴミをロボットの内部に捨てるという動作がテストされたが、あまりに大人数が集まったため、ロボは誰に近づいていいかの判断がすぐには出来ず、迷ってしまった。
それでもようやくお目当ての人を見つけ、その女性記者が空き缶をゴミ箱に入れると、ロボは感謝を込めてお辞儀をした。その様子に集まった人の中から思わず「かわいい!」という声が漏れた。
こんなゴミ箱ロボがいるのはホテルのエントランスだけで、お部屋のお掃除は従来通り人間の手で行われる。
「変なホテル羽田」の宿泊客には無料のスマートフォンが貸し出され、これによって都市全域で無料でインターネットが使用できるほか、日本全域へ時間無制限で通話ができる。こうしたガジェットのおかげで部屋の温度、照明の調節が可能だ。宿泊客はホテルの外にいながら、冷房のスイッチを入れて自分が戻る前に部屋を涼しくしておくことができる。スマートフォンに残された情報は動画、ビデオも含め、チェックアウトとともに 全てが消去される。
宿泊の部屋など空間を広げるためにテレビは置かず、代わりにビデオプロジェクターが使用されている。それでもスタンダードなダブルルームはかなり狭く、壁とベッドの間の空間はスーツケースを持ったまま通れるとはとても思えない。ところが映像の画質とサイズの方は実際に驚嘆に値した。 80インチの画面が壁に直接投射され、チャンネルの切り替え、音量の調節もコマンダーを通してではなく、特別に開発され、各部屋に内蔵されている電子システムでコントロールする仕組みだ。このシステムはパーソナルアシスタントの原則で機能しており、このアシスタントのヘルプで部屋の照明、温度の調節はおろか、見る映画を選択し、天気、ニュース、ご飯を食べに行こうとしているレストランの空き席情報まで調べることが出来る。
このほかにホテルには勝手に洗って、アイロンをかけてくれるという賢いクローゼットがある。一見したところ冷蔵庫のこのクローゼット。ただしなかには食品の並んだ棚はない。一番下に水の入ったリザーバータンクがあり、スイッチを入れると上の棚に向けてスチームを出して汚れを取り去り、嫌な臭いを取るという仕組みだ。ズボンのアイロンをかけ、濡れた服を乾かしてもくれる。

マネージャーのマルフ氏はこのミラクルボックスの機能をデモンストレーションし、自分のジャケットをかけてくれた。入れて2分後、目立った変化は認められなかった。洗濯は標準コースで20分近くかかる。ただし2分でもこの箱の中がスチームでいっぱいになっていることは分かった.

ホテルのマネージャーらはこれだけの数のロボットや電子機器の購入は高くついたと語っている。それでも「変なホテル」の宿泊費は中くらいに抑えてある。「変なホテル」を運営するH.I.S.ホテルホールディングス主幹の加納隆司氏は、低コストを実現できる理由を次のように説明している。「受付の事務作業は人間がやることはないからです。ホテルは24時間ビジネスです。(ロボットは)24時間文句も言わずに働いてくれるし、残業代も要らないからです」。ホテルはオープンしたては11人態勢で運営するが、次第にその数は減らす。マネージャーのマルフ氏は 「今、人が足りない時代になってきています。ホテルに限らず清掃もなんでも人件費が高い。そんな中で我々は別に人が要らないというわけではなく、いかにAIを人が活用できるかということにチャレンジしているのです」と語っている。
ホテル側は2020年の東京五輪を前に日本を訪れる観光客の数はぐんと増えると予想している。ホテル側の予測では五輪観光客のうち外国人の占める割合は50%。マネージャーのマルフ氏はロシア人観光客の誘致に取り組んでいる。 「今ロシア語の予約のポータルを作っていまして、もう少ししたらロシア人がロシア語で『変なホテル』の予約をできるようになります。ただ今の日本語のものに、ロシア語を入れ込んでキックするだけ、ということをするつもりです」。

来年2019年末までに「変なホテル」は日本国内に7軒、米国に1軒の開業を計画している。
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