この
ドラマが史実に基づいたものであるかどうかは、放送直後から論争になった。様々な細部が「史実と違う」と指摘されたため、制作側は「これはドキュメンタリーではなく創作である」と弁解するはめになった。そもそも出演しているのはウクライナのアクセントをもつ白人ではなくて、英国人であるので、史実を全く忠実にたどるわけにはいかない。そこで英国の視聴者のひとり、
カルラ・メリー・スミットは、「それならなぜ、黒人俳優を起用しなかったのか?」とツイートした。ツイートは炎上し、「当時のチェルノブイリに黒人などいたはずがない」とネット社会の批判と冷笑を呼んだ。しかしそんな炎上騒ぎの中、なんと黒人リクビダートルの存在が明らかになった。それは、現在ロシアのチェレポヴェツ市に暮らすイーゴリ・ヒリャク。彼がチェルノブイリの事故現場で瓦礫撤去作業に当たっていた際の写真がネットに流出したのだ。そこでネットはまた騒然となり、わずか数日で各局の取材が「新たな」主役に殺到した。
イーゴリ・ヒリャクはかつてチェルノブイリ事故現場でリクビダートルとして作業に当たった経歴を持ち、外見は黒人である。イーゴリはロシア人とウクライナ人の家庭に生まれたが、母方の遠い先祖の血が隔世遺伝して肌が黒くなったようだ、と話す。イーゴリはスプートニクのインタビューに応じ、死の灰を巻き上げる原子炉からわずか100メートルの距離で作業に当たったことや、当時の日常生活、彼が目にした様々な英雄についても話をしてくれた。