事故から33年
今のチェルノブイリは危険なのだろうか?
1986年4月26日、世界は人類史上最悪の惨事の証人となった。チェルノブイリ原発事故である。この事故は国際原子力事象評価尺度(INES)の最高レベルであるレベル7と格付けされた。同じくレベル7と評価されたのは2011年に起こった福島第一原発事故である。スプートニクはチェルノブイリ原発事故に関するあまり知られていない事実を紹介する。
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様々な数字
840万人
チェルノブイリ原発における爆発の結果、計840万人が様々な強度の放射能に晒された
70%
放射能汚染が一番ひどかったのはウクライナではなくベラルーシであり、70%の被害が同国に集中している。このためベラルーシ国土の5分の1では農業ができなくなってしまった
80万人
事故処理作業には、ソ連全土から80万人が参加した
36時間
事故から36時間が経過してようやく、主に原発勤務者が住んでいたプリピャチ市から4万7500人が避難した
200人
現在、立ち入り禁止区域にはおよそ200人が暮らしており、彼らはサマショール(帰ってきた人々)と呼ばれている
500万人
ロシア、ウクライナ、ベラルーシの約500万人が放射能事故の被災者として国の給付を受けている
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放射線レベル
現在、チェルノブイリにおける放射線レベルはモスクワやキエフ、あるいはミンスクのものとほとんど変わらない:空中測定では放射線はおよそ12-15µR(マイクロレントゲン)/時。住民のガンマ線許容等価線量は30µR/時である。しかしチェルノブイリにはいわゆる住民は存在せず、立入禁止区域の作業員だけが滞在している。IAEA(国際原子力機関)の規定により、チェルノブイリでの作業は交替方式、つまり半年間に2-3カ月だけ行うことが許可されている。放射能は原発の周辺に均等に拡散したわけではなく、点のように染み付いた。そのため立入禁止区域内には、原発の隣接地域より10倍も危険な場所がある。
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チェルノブイリ・ジャングル
33年間、人の影響がなかったことで、立入禁止区域に生まれたチェルノブイリ放射線生態系生物圏は、その数と多様さで世界有数の自然保護区と競うことができるほどだ。ここではオオヤマネコ、イノシシ、ヘラジカ、ウサギ、キツネ、コウモリ、カワウソ、ノロジカ、オオカミの数が急激に増えた。調査によると、チェルノブイリ区域のオオカミの数は隣接する「クリーンな」地域より7倍も多いことが明らかになった。
寿命が比較的短いことから、動物は放射線の影響を受けるには至らないようだ。しかしながら、オオカミに殺されたイノシシの残骨を2019年2月に調べた結果、組成内のストロンチウム(Sr-90)は37倍、セシウム(Cs-137)は96倍の超過が見られた。このことは、チェルノブイリ区域では今もなお土壌と水の高度汚染が続いていることを物語っている。
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石棺
2018年末、崩壊したチェルノブイリ原発4号炉を覆う構造物、つまり新安全閉じ込め構造物(New Safe Confinement)の組立作業が完了した。移動式アーチの形をした新しい石棺は、1986年11月に突貫工事で建設された老朽化「シェルター」を すっぽりと覆っている。3万6000トンの鋼鉄の巨大な構造物は100年の耐用年数を見込んでいる。その間に、原子炉とその内部にある200トンの核燃料残留物、放射性廃棄物、放射席粉塵は除染され、完全に安全な建物になるはずだ。
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芸術におけるチェルノブイリ
チェルノブイリについて撮られた映画作品やドキュメンタリーは数多くあり、また数えきれないほどのアマチュアフィルムが存在する。その中で最新のものは2016年の短編映画「The Arch」であり、プリピャチで育った少年の物語がベースとなっている。2年間で本作品は欧州、アジア、アメリカの数多くの国際映画フェスティバルに参加し、18回のノミネートと5回の受賞を獲得した。この作品ではチェルノブイリ事故の30年間の歴史、つまり最初の瞬間からアーチ形の新しい閉じ込め構造物が現れるまでが描かれている。本作品の特徴は、音楽の言語で綴られていることであり、映画の中で唯一聞こえる言葉はゴルバチョフソ連大統領(当時)の国民へのメッセージである。
2014年、ピンク・フロイドはアルバム発売20周年に向けて「Marooned」のビデオクリップを発表した。これもプリピャチで撮影されたものである。ビデオクリップは同グループのチャンネルで1900万回視聴されている。
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写真: REUTERS / Gleb Garanich, CC0 / Pixabay, AFP / Sergei Supinsky, CC0 / Pixabay, РИА Новости
筆者 : リュドミラ サーキャン
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