スプートニク日本
奈良ドリームランドとベドゥグル・タマン 仏写真家の廃墟写真プロジェクト
フランスの写真家ロマン・ベイロン(Romain Veillon)氏は世界各地にある、長らく人に打ち捨てられた場所を映すフォトレポルタージュで全世界に名声を轟かせている。氏のカメラに映るのは世界の廃墟となった建物や公園、さらには全域が放棄された居住区であることもある。廃墟は独特で神秘的な雰囲気を有しており、磁石のように観光客を引きつける。
スプートニクのインタビューに対してベイロン氏は廃墟から受ける印象を伝え、自然の力にゆっくりと飲み込まれ、背景に溶け込んでいっている廃墟に隠された神秘がいかなるものかを語った。
その1つにかつての日本の遊園地、奈良ドリームランドがある。その最期の日々は、ベイロン氏のレポルタージュの素材となった。
ロマン・ベイロン(Romain Veillon)
奈良ドリームランドは米カリフォルニアのディズニーランドに倣い1961年に開業したが、業績が悪化し2006年に閉園した。長らく放置されたが、ベイロン氏が写真を撮りに訪れた後すぐに解体作業が始まった。そのため、ベイロン氏の写真は奈良ドリームランドの最後の思い出を映すものとなった。
ベイロン氏は取材中、閉鎖された施設である奈良ドリームランドを訪れられたことは大きな幸運だったと認めた。氏は園に1日中滞在し写真を取ったが、誰にも会うことがなかったという。
ベイロン氏はこれほど隔離された状況により、奈良ドリームランドがさらにミステリアスで雰囲気のあるものになっているとして次のように語った
この場所は神秘に満ちている。そこでは時間の外にあるよう感じられる。過去に戻ったように思い、20年前はどれほど人がたくさんいて、子供たちが楽しんで笑い声を上げていただろうと想像した。これは非常に興味深い感覚だ
ロマン・ベイロン
もう1つ興味深い場所でありベイロン氏の探求の対象となった施設はインドネシア・バリ島にある。標高1500メートルほどの山中の、有名な観光地であるブラタン湖とブヤン湖の付近にその施設、ベドゥグル・タマンホテルは位置する。
ベドゥグル・タマンホテル
Left
Right
ベドゥグル・タマンホテル
とはいえホテルは、ベイロン氏が探求した他のすべて同様、長らく廃墟となっている。しかし現在に至るまで、これほど豪勢なホテルが打ち捨てられた理由はわかっていない。その結果、ホテルに関する多くの
伝説が生まれた
。 噂の中には、訪れた人や従業員全てをさらった悪霊についての話がある。
より現実味のある話もあり、それによるとホテルは元インドネシア大統領の下の息子、フトモ・マンダラ・プトラ・スハルト氏が建てたのだ。 しかし2002年、恐ろしいテロによりインドネシア全土が揺れ、残るは仕上げをして調度品を配置するだけ、というところでホテルの建設が止まった。 ベイロン氏は廃墟を巡る旅について、著書『
Ask The Dust
』で語っている。
筆者
アントン・シチコフ
デザイン
アントン・シチコフ
マルチメディア
ロマン・ベイロン
Made on
Tilda