「夢はロシアのバレエ劇場で踊ること」
ロシア・バレエコンクール出場の西口実希さんにインタビュー
ロシアで人気のテレビ番組「ボリショイ・バレエ」シーズン3がスタートする。こうしたバレエコンクール番組は世界に類を見ず、出場者はロシア人だけではない。スプートニクは出場する日本出身のバレリーナ、西口実希さんにインタビューを行い、出場の経緯や振り払えたロシアに対するステレオタイプ、好きなロシア料理を尋ねた。
リュドミラ・オメルチェンコ
若きバレエダンサーに「ボリショイ・バレエ」撮影を行うロシア最大手映画製作会社モスフィルムに入るや、私は映画の中の世界に入り込んだ。美しいメイクをしたアーティストに衣装デザイナー、そしてしっかりとダンサー指導者が見据えるなか忙しく加えられる衣装の最後のパーツ、白粉と香水の匂い。この凄まじく忙しい、しかし同時に幸せに輝く人びとは素晴らしいユーモア感覚を持っている。化粧室近くにかかるサッカー選手の写真は、バレエのダンスのようにボールを追い飛ぶワールドカップ(W杯)ロシア大会の決勝出場者らを写しており、迫る出場を前に緊張するダンサーの気分でさえ高揚させずにはいない。
準備過程には魅了される。出場者は様々な劇場や国からのダンサー。ロシア国内からはペルミ、ノボシビルスク、カザン、クラスノヤルスク、エカテリンブルク、国外からはブラジル、米国、チェコ、そして日本から出場する。
スプートニクチームはこうした機会を逃さず、番組に出場するエカテリンブルク劇場のバレリーナ、西口実希さんのもとへ向かった。

西口さんは小柄で洗練されており、パートナーとともに自信たっぷりにメイクに急ぐ。インタビューには、過密なスケジュールの数分を割いてもらった。撮影スケジュールは毎日朝10時から22時。
コンクールで西口さんとタッグを組むのはアレクセイ・セリヴェルストフさん。彼らはエカテリンブルク・アカデミー・オペラ・バレエ劇場を代表している。2人は同劇場ですでに約3年間、パートナーとして「くるみ割り人形」「ラ・フィユ・マル・ガルデ」「ジゼル」など有名なバレエ作品や、現代的な演出の作品で踊っている。

質問は、出場の経緯から始まった。
スプートニク:プロジェクト出場は、パートナーのアレクセイ・セリヴェルストフさんと共に2人で決断したものですか?それとも、誰かの推奨ですか?
セリヴェルストフさん:「劇場の監督、ビャチェスラフ・サモドゥロフ氏が電話がきて、プロジェクト参加を提案してきました。当然、承諾しました。」

西口さん:「私もすぐに『はい』と言いました。」
スプートニク: リハーサルと撮影に参加したときに感じた最初の気持ちを教えてください。過密なスケジュールですか?出演を前に緊張していますか?
西口さん:「私にとって大変なのは照明と違う床、デコレーション、幕がないこと、お客さんが少なく、もらうエネルギーが少ないこと。 そういうものに慣れるのは一番大変です。。。いつも緊張はしてるけど舞台とテレビ番組の撮影は感覚が違うので難しいです」

セリヴェルドフさんは同意しつつ、「緊張はいつもあります。舞台裏で緊張は強く感じるが、ステージに出るとそれは消えます」と付け加えた。
スプートニク: 番組でどうした役を演じたかったですか?メンターであるアントン・ピモノフ氏は選ぶ権利を与えてくれましたか?
セリヴェルドフさん:「番組用に準備したプログラムが私たちにはあるので、それに沿っています。」

西口さんは少し幕を開けて「私達のレパートリーにすでにあったプログラムもありましたが、初めて踊った作品もありました。アントンを含め芸術監督とも自分達にどの作品が合っているか、何を踊りたいか話し合い決めました。」

スプートニク: プロジェクトの秘密公開がまだできないことは理解していますが、プロジェクトでどのような演出があなたを待っているかをすでにご存知か教えていただけますか?
セリヴェルドフさん:「現代的な振り付け、モダンを含むこと、これは秘密ではないでしょう。」
新シーズンでダンサーらはクラシック・バレエからはじめ、コンテンポラリーな実験に続く。だが、トレーニングの経過と教師チームの計画の詳細はまだ秘密となっている。
クラシックバレエを踊っているときはモダンがちょっと恋しくなるし、モダンを踊っているときはクラシックを踊りたくなるし、私は両方踊ります。
西口さん
西口さんはロシア指折りの舞踊学校であるワガノワ・バレエ・アカデミーを2013年に卒業。以降、エカテリンブルクの国立アカデミー・オペラ・バレエ劇場で踊っており、その間に疑いなく、ロシアは第2の祖国となった。
スプートニク: ロシアに住んでいくなかで抜け出したステレオタイプはありますか?
西口さん 「恥ずかしがることはなくなった。演技の面で日本にいたときのほうが表現するのは恥ずかしかったけど、こっちにきてそういう感情が少なくなった」。

スプートニク: ロシア料理は多種多様ですが、好きな料理はありますか?制限しないといけないことはありますか?
西口さん 「ソバの実が好きです。初めて食べた時は、うーん、なにこれと思ったんですけど、時間がたつにつれて好きになりました」。
西口さんは、食事制限は特にないと言う。舞台でのエネルギー消費量がとても大きいため、出演後の夜遅くにでも食事ができる。
ブリヌイも好きで時間があれば家でも作りますが、なぜか毎回同じ味にはなりません(笑)
西口さん
スプートニク: あなたが代表する町の文化に視聴者は必ず関心を示すでしょう。おすすめできるお気に入りのスポットはありますか?
西口さん 「もちろん、私たちの劇場!エリツィンセンターやマヤコフスキー公園も良いかもしれません」

スプートニク: 学んだあと日本に帰国するのではなく、ロシアに残ろうと決意した理由はなんですか?
西口さん 「私の夢がロシアのバレエ劇場で踊ること。ロシアバレエが本当に好きで、ここに残って、ロシア人に囲まれてその影響を受けながら上に向かっていきたいと思って、ここに残りました」
スプートニク: 2018〜19年は露日交流年だと発表されていることをご存知ですか?露日国民の接近が期待できそうな交流年のイベントはどのようなものだとお考えですか?
西口さん 「個人的にはワールドカップもあってエカテリンブルグと日本との交流も多いと思うんですけど、このバレエ団を日本に持って行ってみんなに見てもらいたいです」

スプートニク: ロシアの日本人観光客は今年増えましたが、今にいたるまで情報不足のため多くの人はロシア行きに踏み切れません。ロシア旅行を予定する日本人に与えられる3つのアドバイスをお願いします。
西口さん 「みんなはロシア人を怖いと思っているので、見た目だけで怖がらないで、心開いてくれたらみんな温かい人達ばかりなので是非一度来てほしいです。街の散歩や買い物には地図アプリがとても役に立ちます。寒いイメージが多いロシアですが夏は場所によっては35を超えることも、ロシアにも春夏秋冬があるのでいつの時期にきても楽しめます」

西口さんとセリヴェルドフさんは熱心に訓練し、その柔軟性と技術はスプートニクのカメラ技師すら魅了する。カメラ技師は、際限なく2人の踊りを撮っていられると認める。2人はメンターの話を注意深く聞き、このペアの間に温かい関係があることを私は観察する。

2人は今日まもなく、バレエの世界的スターが務める審判の前で出演する。審判はリュドミラ・セメニャカ氏、ローラン・イレール氏、ヴラジーミル・マラーホフ氏、トマス・エドュール氏、番組の司会者でボリショイ劇場のプリマバレリーナであるスヴェトラーナ・ザハーロワ氏、俳優で監督のアンドレイス・ジャガルス氏。第3シーズンの結果は放送でご覧ください。放送は2019年を予定。スプートニクチームはすでに、番組で誰を応援するかをすでに決定した。
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